人材不足とは?人手不足との違い(質と量)
人材不足とは、事業に必要な専門性・スキル・経験を持つ「質」の面で人が足りていない状態を指します。これに対して人手不足は、単純な人数や稼働時間という「量」が足りていない状態を指す言葉です。両者は似た場面で使われがちですが、原因も打ち手もまったく異なります。
帝国データバンクの調査でも、情報サービス業のようにAIの普及で仕事量自体は増えているにもかかわらず、スキルの合う人材の獲得競争が激しくなっている業種があることが指摘されています。これはまさに、頭数の問題ではなく人材不足の典型例です。求人を出せば応募は来るのに、求めている専門性を持つ人には出会えない、という状態に心当たりがあるなら、量ではなく質の課題として向き合う必要があります。
人材不足という言葉を検索する経営者の多くは、すでに「採用の数を増やす」という打ち手だけでは解決しないと薄々気づいています。実際、企業からの相談でも「応募は来るが、求めているレベルの経験を持つ人がいない」という声は珍しくありません。この場合、求人票の書き方を変えるよりも、求める人材像そのものを見直す方が本質的な対策になります。
必要な人材像を言語化する
人材不足を解消しようとする前に立ち止まりたいのが、「具体的にどんなスキルを持つ人が、何をできれば足りているのか」を言葉にする作業です。「営業ができる人」「DXに詳しい人」といった漠然とした表現のままでは、育成すべきか外部から調達すべきかの判断すらできません。
業務の棚卸しから人材像を導く
今、社内の誰にもできていない業務、あるいは特定の一人に頼り切っている業務を洗い出すことで、本当に必要な専門性が見えてきます。人員不足という言葉で片づけず、足りないのは「人数」なのか「特定の技能」なのかを分けて考えることが出発点になります。
言語化する際は、「資格」「経験年数」のような表面的な条件だけでなく、「どんな判断を任せたいのか」「どの業務を巻き取ってほしいのか」まで具体化することがポイントです。ここまで言葉にできると、育成すべき範囲と外部に任せるべき範囲の線引きが自然と見えてきます。
育成するか、外部から調達するか
必要な人材像が明確になったら、次に考えるのは「今いる人を育てて対応するか」「外部から新たに調達するか」という選択です。
育成で対応できる場合
時間的な余裕があり、社内に候補となる人材がいるなら、育成によって専門性を積み上げる方が長期的なコストは抑えられます。ただし、専門性の高い領域では育成に時間がかかりすぎて、事業のスピードに間に合わないこともあります。
外部調達が向いている場合
専門性が高く、かつ今すぐ必要な場合は、正社員採用にこだわらず外部から力を借りる方が現実的です。フルタイムでの採用は難易度が高くても、期間や工数を区切った関わりであれば、専門人材と出会える可能性は広がります。
両方を組み合わせるという選択肢
実際には、育成と外部調達のどちらか一方だけを選ぶ必要はありません。今いる社員に基礎的なスキルを育成しつつ、専門性の高い部分だけを外部人材に任せるという組み合わせ方も、多くの中小企業で採られています。
副業・プロボノで専門人材にアクセスする
人材不足の解決策として近年広がっているのが、副業やプロボノという形で専門人材にアクセスする方法です。都市部の企業に勤めながら、週数時間だけ地域の中小企業の課題に関わる副業人材や、自らのスキルを無償に近い形で提供するプロボノ人材が、専門性の空白を埋める役割を果たすケースが増えています。
正社員採用では出会えなかった専門性でも、副業やプロボノという関わり方であれば、必要な分だけ力を借りることができます。副業人材の活用やプロボノという選択肢について、それぞれ詳しく紹介しています。人材不足を採用だけで解決しようとせず、関わり方の選択肢を広げてみることが、専門性の空白を埋める近道になります。
専門人材との関わりは、いきなり大きな契約から始める必要はありません。小さな業務から一緒に進めてみて、相性や成果を確かめながら関わりを深めていくというやり方も、多くの企業で採られています。
まとめ
人材不足とは、頭数ではなく必要なスキルを持つ人がいない状態を指し、単純な人手不足とは異なる打ち手が必要になります。まずは必要な人材像を言語化した上で、育成か外部調達かを見極め、副業・プロボノといった関わり方も選択肢に入れることで、専門性の空白を埋める道が見えてきます。
