縦割り組織とは何か
縦割り組織とは、各部署がそれぞれの目標や業務範囲の中だけで動き、部署をまたいだ情報共有や協力が生まれにくくなっている組織の状態を指します。組織図として部門が分かれていること自体は、役割分担として当然のことです。問題は、その線引きが強くなりすぎて「これはうちの仕事ではない」「あの部署には言っても仕方ない」という空気が定着し、会社全体で見たときに非効率や機会損失が生まれている状態にあります。
いわゆるセクショナリズムや部署間対立という言葉も、縦割り組織が引き起こす典型的な症状として語られます。営業が受けてきた案件の情報が製造にきちんと伝わらない、クレーム対応の責任の所在をめぐって部署同士が押し付け合う、といった具体的な場面に心当たりがある経営者や管理職は少なくないはずです。
なぜ部署間に壁ができるのか
縦割りの壁は、多くの場合、悪意や怠慢からではなく、会社の仕組みそのものから生まれます。
評価が部署単位で完結している
部署ごとの目標達成度だけで評価が決まる仕組みだと、社員は自分の部署の数字を守ることを最優先に考えるようになります。他部署を助けて自部署の数字が犠牲になるくらいなら、関わらない方が合理的だと判断されてしまうのです。
情報が部署内で閉じている
会議体や報告のルートが部署内で完結しており、他部署の状況を知る機会がそもそも用意されていない会社もあります。知らないことには協力のしようがなく、結果として「隣の部署が何をしているか分からない」状態が固定化します。
過去のトラブルが不文律になっている
以前、部署をまたいだ協力がうまくいかず責任の押し付け合いになった経験があると、そのしこりが「もう関わらない方がいい」という暗黙のルールとして残り続けることもあります。
連携できる仕組みをどうつくるか
縦割りの壁を崩す取り組みは、精神論だけでは長続きしません。仕組みとして手を打つことが必要です。
共通の目標を持たせる
部署ごとの個別目標に加えて、会社全体や顧客に関わる共通の目標を評価に組み込むと、部署をまたいだ協力に意味が生まれます。「自部署の数字」だけでなく「会社としての成果」に意識が向くようになるためです。
意図的に越境する機会をつくる
部署を横断したプロジェクトチームや、定期的な合同ミーティングなど、業務上どうしても顔を合わせる場を意図的に設計することも有効です。日常業務の延長では生まれない接点を、仕組みとして用意する発想が求められます。
情報を一箇所に集める
案件の進捗や顧客とのやり取りを、部署を越えて誰でも確認できる状態にしておくだけでも、「知らなかった」を理由にした連携不足はかなり減らせます。
中小企業に潜む「ミニ縦割り」
縦割り組織というと、部門数の多い大企業の話だと感じるかもしれません。しかし中小企業でも、規模の小ささゆえの「ミニ縦割り」が起きます。一人で複数の役割を兼任している会社では、担当業務の線引きがあいまいなまま「これは自分の仕事ではない」という感覚だけが先に生まれ、実質的な縦割りにつながることがあります。兼任が多い組織ほど、誰が何に責任を持つのかを明確にしないと、かえって部署間対立に似た状態が生まれやすいという逆説があるのです。
少人数の会社であれば、部署をまたいだ壁は大企業ほど厚くならないと考えがちですが、実際にはむしろ役割があいまいなぶん、個人間の感情的なもつれが壁として固定化しやすい面もあります。
横断・外部の視点を取り入れる
縦割りの壁は、内部の当事者だけで気づき、崩していくのが難しい性質を持っています。日々の業務に追われる中では、部署間の連携不足が「昔からこうだから」という前提になり、問題として認識されにくくなるためです。
よくあるケースでは、外部の第三者が部署ごとにヒアリングを重ねる中で、双方が同じ課題を別の言葉で語っていることに気づき、それを翻訳して伝えるだけで話が前に進む、ということがあります。社内の人間関係のしがらみがない立場だからこそ、双方の言い分をフラットに聞き、橋渡しの言葉を見つけられる場合があるのです。
まとめ
縦割り組織は、評価の仕組み・情報の流れ・過去の経緯が積み重なってできあがるものであり、一朝一夕には崩れません。まずは自社の部署間で、どこに壁ができているのかを具体的に洗い出すところから始めてみてください。部署間の連携を超えて、組織全体として強くしなやかなチームをつくっていく考え方は、強い組織とは何かを扱った記事でも詳しく整理しています。
