ふるさと兼業とは何か

ふるさと兼業とは、都市部などで働く社会人が、本業を続けながら地方の企業やプロジェクトに兼業・副業という形で関わる仕組みです。移住や転職を前提とせず、オンラインでのやり取りを中心に、月に数時間から数十時間程度、継続的に地域企業の課題に関わるスタイルが一般的です。

地方の企業にとっては、都市部の専門人材を正社員として招くことが難しくても、兼業という形であれば、必要なスキルを継続的に借りられるという特徴があります。地域と都市部の人材をつなぐという意味で、プロボノ副業人材の活用と重なる部分もありますが、ふるさと兼業は「地域」という軸を明確に持っている点が特徴です。

地域企業が使うメリット

都市部の専門知識が地域に流入する

マーケティング、Web、商品開発、人事など、地方では採用が難しい専門スキルを持つ人材と、地理的な制約なく関わることができます。求人を出しても応募が集まらないような専門職種でも、兼業という関わり方であれば、都市部を含めた広い母集団から人を探せるようになります。

採用よりハードルの低い関わり方

いきなり正社員として採用するのではなく、まず兼業という形で一緒に働いてみることで、企業・人材双方にとってお互いの相性を見極める期間を持てます。フルタイムでの雇用に比べて費用も抑えられるため、「まずは試してみる」という一歩を踏み出しやすいのも特徴です。

社内に新しい視点と刺激が生まれる

都市部の人材が定期的に関わることで、社内では当たり前になっていた業務のやり方や商品の見せ方に、外部の視点が入ります。この刺激が、社員自身の意識の変化につながることも少なくありません。「外から来た人にこう言われて初めて気づいた」という声は、実際によく聞かれるものです。

どんな人が来るのか

ふるさと兼業に関心を持つ人材には、いくつかの傾向があります。地方出身で「自分の出身地や縁のある地域に何か貢献したい」という思いを持つ人、都市部で専門スキルを磨いてきたが会社の看板を離れて自分の力を試したいと考えている人、将来的な移住や転職を見据えて、まずは兼業という形で地域と関わってみたいと考えている人などです。

共通しているのは、報酬の多寡だけを目的にしているわけではなく、地域や企業の課題そのものに関心を持って関わろうとする姿勢です。この動機の部分が、単なる業務委託と少し違う協働関係をつくる土台になります。

よくあるケース

ふるさと兼業を通じて生まれる変化には、いくつかの典型的なパターンがあります。実際に、都市部のマーケティング経験者が地方の製造業と組んで、これまで社内になかった伝え方で自社商品の魅力を発信し直す、といったケースはよく見られます。また、都市部のIT人材が地域企業の業務のデジタル化を手伝い、属人化していた仕事の一部が仕組み化される、というケースもあります。

いずれも、都市部の専門人材と地域企業が組んだことで、それまで社内だけでは出てこなかった発想やアウトプットが生まれた、という点が共通しています。特定の一社の成功事例というより、こうした変化があちこちの地域企業で起き始めているというのが、現時点での実感に近い言い方です。

始め方

ふるさと兼業を始める際、最初のつまずきになりやすいのが「何を任せればいいか分からない」という点です。都市部の人材にいきなり抽象的な相談を投げても、双方にとって成果が見えにくくなってしまいます。

  • 今、社内にないスキル・視点は何かを書き出してみる
  • 任せたいテーマを、小さくても具体的な単位に分解する
  • オンラインでの定期的なコミュニケーションの場を確保する

関わる期間や頻度も、企業ごとにさまざまです。数か月の短いプロジェクト単位で区切って始める企業もあれば、月数回の定例ミーティングを軸に1年以上継続する企業もあります。最初から長期を前提にする必要はなく、まずは小さなテーマで一度動いてみて、双方の相性を確かめながら関わり方を調整していく進め方が現実的です。

この設計や、企業と人材のマッチングを一人で行うのは簡単ではありません。地域と都市部をつなぐコーディネーターを間に置いて進める企業も多く、まずは自社にとってどんな関わり方が合うのか、話してみるところから始めてみてください。

まとめ

ふるさと兼業とは、都市部の社会人が本業を続けながら地方の企業と兼業という形で関わる仕組みで、採用より低いハードルで都市部の専門知識を地域に取り込めることが最大のメリットです。関心を持つ人材の多くは、報酬だけでなく地域や企業の課題そのものへの関心を動機にしています。任せるテーマを具体的に分解することが、良い関わりを生む出発点になります。